日本の高度経済成長期、夜の街には巨大なネオンが瞬き、サラリーマンたちはこぞって豪奢な大箱へと吸い込まれていった。その象徴とも言える存在が、かつて新宿歌舞伎町などで圧倒的な存在感を誇った「キャバレー ハリウッド」をはじめとするグランドキャバレーの数々だ。フロアには所狭しとテーブルが並び、煌びやかな衣装を纏ったダンサーによる豪華なレヴューが毎夜繰り広げられていた。
地方から集団就職で上京した若者も、会社で重責を担うベテランも、等しく日常の鬱屈を忘れられる場所。ボックス席でホステスと酒を酌み交わしながら、ステージ上で展開される本格的な歌と踊りに酔いしれる時間は、まさに庶民にとって最高の「ハレの日」の娯楽だった。生バンドのダイナミックな演奏が床を揺らし、紙テープが宙を舞う光景は、戦後日本の復興と経済的熱気の象徴そのものだったと言える。