2021年8月の福岡地裁(一審)は、関与が問われた4つの市民襲撃事件すべてにおいて野村被告の首謀・共謀を認定し、暴力団トップに対して史上初となる死刑判決を言い渡しました。判決言渡し直後、野村被告が裁判長に向けて「生涯後悔するぞ」と威嚇とも取れる発言を残した場面は、社会的にも大きな波紋を広げました。
しかし、2024年3月の福岡高裁(控訴審)判決は一審判断を大きく覆しました。裁判長は、4事件のうち唯一の殺人罪に問われていた1998年の元漁協組合長射殺事件について、「野村被告が犯行を指示・了承したと認めるには合理的疑いが残る」として無罪と判断。他の3事件(元警察官銃撃、看護師刺傷、歯科医師刺傷)については有罪を維持したものの、殺人罪が不成立となったことで死刑を選択することはできず、無期懲役への減刑を言い渡しました。
高裁は「厳格な証明が求められる刑事裁判の原則」を厳密に適用した形ですが、検察側は「組織の統制力と動機を過小評価している」と強く反発。この判断の妥当性が、そのまま上告審へ持ち越されることとなりました。