かつて映画界の保守本流は、配信発の作品を「テレビ映画」と見なし排除しようとした。その強固な隔壁を打ち破った立役者こそ、アルフォンソ・クアロン監督の極上白黒ドラマ『ROMA/ローマ』である。パーソナルな記憶を圧倒的なシネマティック映像に昇華させた本作は、世界の映画祭を席巻し、配信映画に対する評価を劇的に変えた。
続いてマーティン・スコセッシ監督が手掛けた壮大なギャング映画『アイリッシュマン』は、巨額のデジタル若返り技術と贅沢な尺を存分に使い、映画史に刻まれる金字塔を打ち立てた。これらの成功は、授賞式を主催する米映画芸術科学アカデミーの認識を根本から覆し、最高賞を狙えるクオリティの証明となった。今日における受賞レースの主役は、もはや劇場専業のスタジオではない。