ペット可物件の契約時にほぼ例外なく提示されるのが、「敷金1ヶ月〜2ヶ月分の積み増し」や「敷金償却(退去時に返金されない特約)」です。なぜこれほど多額の担保を要求されるのか、その背景には長年不動産業界を悩ませてきたペット可賃貸退去費用トラブルの苦い歴史があります。
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」において、経年劣化や通常損耗の修繕費用は貸主負担と定められています。しかし、「ペットによる柱や壁の引っかき傷」「床や下地にまで染み込んだアンモニア臭や排泄物のシミ」などは、明らかに借主の善管注意義務違反(過失)とみなされ、全額借主負担となります。退去時の原状回復工事費用が50万〜100万円規模に跳ね上がる事例も日常茶飯事であり、貸主側としては初期段階で相応の防衛資金を確保しておかなければ、賃貸経営そのものが破綻しかねないという切実なペット可賃貸敷金積み増し理由が存在するのです。
また、年収や勤務先といった一般的な属性基準を十分に満たしているにもかかわらず発生するペット可物件審査落ち理由には、特有の判定基準が存在します。現場の管理会社が最も警戒しているのは、以下の3つのポイントです。
- 留守番時間の長さと騒音リスク:単身者で残業が多く、ペットが1日12時間以上放置される環境は、分離不安による無駄吠えや壁破壊の温床とみなされ審査で強く警戒されます。
- 過去の飼育実績と予防接種の有無:狂犬病予防注射済票や混合ワクチン接種証明書、避妊・去勢手術の受術証明を即座に提出できない場合、飼い主としての管理意識が疑われます。
- 物件の規約サイズとの不整合:小型犬限定の物件に対し「成犬時は小型だが、現在は成長途中の子犬」を申請し、将来的にサイズオーバーする懸念があると判断された場合も否決の対象となります。