多くの高校生や受験生を悩ませる最大の要因は、「it is not until thatの訳し方」における直訳と意訳の乖離です。英文の構成要素を機械的に拾っていくと、以下のようなぎこちない日本語が出来上がってしまいます。
例えば、「It was not until yesterday that I realized the truth.」という基本文を考えてみます。学校の直訳指導通りに解釈すると、「私がその真実を悟ったのは、昨日までではなかった」となります。日本語として文意が通じないわけではありませんが、極めて回りくどく、日常的な表現としては破綻しています。
この構文で〜して初めてと訳す理由は、前置詞・接続詞「until」の本来のコアイメージにあります。untilは「ある動作や状態が、ある時点までずっと継続する限界点」を示します。つまり、until yesterdayは「昨日という境界線に至る直前まで」を指します。そこに否定辞「not」が結びつくことで、「昨日になるまでは、知っているという状態がゼロ(非成立)のまま継続していた」ことを意味します。
「昨日になるまで知らなかった」ということは、裏を返せば「昨日という境界線をまたいだ瞬間に、知っている状態へとスイッチが切り替わった」ということです。英語圏の発想では「境界線に達するまでの否定」を語ることで、その境界線を越えた契機を際立たせています。これを自然な日本語に落とし込むと、「〜の時を迎えて、そこで初めて…した」という訳出が論理的にも心理的にも最も正確な表現となるのです。