刑事責任の追及は、加害者に降りかかる悪夢の序章に過ぎない。被害を受けた企業が次に繰り出すのが、民事上の不法行為責任に基づく損害賠償請求だ。「逮捕されて略式起訴で罰金を払えば終わり」という甘い見立ては、民事訴訟の現場で無残に打ち砕かれる。
ある大手外食チェーンの法務担当者は、取材に対し次のように明かした。「動画が1本拡散しただけで、週末の売上が前年比で4割吹き飛んだ。株価下落による時価総額の損失、緊急のIR対応費用、全国の店舗に設置した監視カメラの増設費用まで、損害項目を積み上げれば数億円に達する。見せしめではなく、企業防衛と株主への説明責任として、請求可能な限度額まで徹底的に請求せざるを得ない」。
未成年が起こした事件であっても、親権者の監督責任が追及される事例が増加している。民事裁判で確定した数千万円単位の賠償金は、自己破産を申し立てても「悪意による不法行為」と認定されれば免責されないリスクが高い。生涯にわたって給与の差し押さえが続くという過酷な現実は、あまりにも知られていない。