メディアで頻繁に使われる「原理主義」という概念ですが、原理主義の意味をわかりやすく解説すると、「拠って立つ教義の根本(ファンダメンタル)に立ち返り、世俗化や妥協を排して厳格に教えを守ろうとする思想的態度」を指します。
今日ではイスラム社会と結びつけられる場面が圧倒的に多いものの、宗教原理主義の歴史と背景をたどると、その発祥は1910年代から1920年代のアメリカ合衆国にあります。当時、近代合理主義やダーウィンの進化論が教育現場に普及し、キリスト教の伝統的価値観が揺らぎ始めました。これに強い危機感を抱いたプロテスタントの保守派指導者層が、聖書の無謬性(誤りがないこと)やキリストの処女懐胎といった基本的信仰箇条を再確認するために発行したパンフレット『ファンダメンタルズ(The Fundamentals:基本・根本論考集)』が直接の起源です。
つまり、語源としてのキリスト教根本主義(ファンダメンタリズム)は、近代化の波によって信仰が変質・形骸化することへの防衛反応として生まれた純然たる護教運動でした。自らの道徳的・霊的支柱を守り抜く姿勢そのものが、本来の意味における原理主義者とは何かを規定する核となっています。