日常会話やメディア報道では「極道」「ヤクザ」「任侠」「暴力団」といった言葉が同義語のように使われがちですが、それぞれの出自やニュアンスには明確な境界線が存在します。
「ヤクザ」の語源として最も広く知られているのは、花札の賭博「三二枚(おいちょかぶ)」における最悪の手目「八・九・三(足して二十、下ひと桁がゼロで役なし)」に由来する説です。社会の役に立たない者、落伍者という自嘲と開き直りを込めた呼称でした。一方、「任侠(仁侠)」は中国の古典『史記』などに登場する倫理概念であり、「強きを挫き、弱きを助ける」「己を犠牲にして信義を貫く」という精神規範を指します。
裏社会の構成員は自らを「任侠の徒」あるいは「極道を歩む者」と美称し、社会的な正当性を主張する傾向がありました。しかし、警察や司法などの法執行機関から見れば、そうした自己美化にかかわらず、暴力や威力を背景に不法な経済的利益を追求する集団はすべて法制上の「暴力団」として定義されます。