多くの投手がパワーカーブ習得で決定的な過ちを犯すのが、「手首を外側にひねってボールを抜く」という誤った意識です。手首を意図的にひねってリリースしようとすると、前腕の筋肉がロックされ、腕の振りが鈍化して初速が10km/h以上低下します。これでは緩いドロップカーブになるか、回転軸が傾いた半端なスライダーにしかなりません。
ダルビッシュ有投手が自身の技術解説やインタビューで繰り返し強調している核心は、「カーブだからといって手首をひねったり、抜いたりする意識は一切持たない」という点です。ダルビッシュ投手の解説によると、リリース時のイメージはストレートと完全に同一であり、腕の振りも直球と全く同じスピードと軌道でトップから振り下ろします。変化を生み出すのは腕の操作ではなく、「ボールの握り」と「中指にかかる支点の圧力」です。
リリースの瞬間、ボールを上から叩き潰すような意識で腕を振り抜くと、縫い目に深く掛かった中指がボールの前面を最後の一瞬まで捉え続けます。手首を固定したまま腕を振り下ろすことで、指先がボールの縫い目を「下に削り取る」ような強い作用反作用が発生し、意識してひねらなくとも自然と強烈なトップスピンがボールに伝達されます。まさに「ストレートを全力で投げたら、中指の引っ掛かりによって勝手に高速縦回転がかかって落ちた」という状態こそが、パワーカーブのリリースの真相です。