都内の有名洋菓子店や高級リゾートホテルの厨房を訪ねると、カスタードクリームやオムレツの仕込み場に決まって積まれているのが、特徴的なロゴが印字された段ボール箱です。プロの料理人たちが口を揃えて評価するのは、那須御養卵の特徴である濃厚なコクと、後味に一切の雑味が残らない澄んだ風味にあります。
この卓越した品質の土台を築いているのが、栃木県を拠点とする生産者の有限会社稲見商店です。那須高原の清涼な空気と豊かな地下水という恵まれた自然環境に加え、同社が長年研究を重ねて辿り着いたのが「漢方処方にヒントを得た特殊飼料」でした。鶏の腸内環境を整える木酢液をはじめ、海藻粉末、ヨモギ、枯草菌、乳酸菌を絶妙な比率で配合。さらに、黄身の鮮やかな発色を促すために天然のマリーゴールドをブレンドしています。
養鶏業界の技術データによると、一般的な採卵鶏の飼料に魚粉などの動物性原料を過剰に配合した場合、卵特有の「生臭み(トリメチルアミン等の揮発性成分)」が黄身に移りやすくなります。稲見商店では植物性由来の原料を主軸に据えることで、生臭さを徹底的に排除。箸でつまみ上げても崩れない強靭な卵黄膜と、白身の濃厚濃厚卵白がもたらす立体的な弾力を両立させています。熱を加えた際にも卵の香気成分が品よく立ち上るため、素材の輪郭を際立たせたいパティシエたちから「代えがきかない卵」と指名されるに至っています。