作品初期から読者の好奇心を刺激し続けてきたのが、「売却すれば7代遊んで暮らせる」というハンターライセンス売却額の真相です。ヨークシン編においてキルアが語ったこの言葉は、作中世界におけるライセンスの狂気的な資産価値を端的に表しています。
作中通貨「ジェニー」の貨幣価値(日本円換算でおよそ1ジェニー≒0.9円)を基に試算すると、7代にわたって一族が贅沢に暮らすために必要な額は、控えめに見積もっても数百億ジェニー(約100億円以上)に相当します。実際に質屋の目利きであるゼパイルの査定や裏ルートの相場からも、カード単体で初動1億ジェニー以上の融資が即座に実行されるなど、その資産価値の異常さは一目瞭然です。
驚くべきことに、公式データによれば過酷な試験を勝ち抜いた合格者のうち、初年度にライセンスを手放す者が約18%(約5人に1人)も存在します。紛失や盗難を含めれば、1年以内に所持し続ける者の方が少数派となる年すらあります。カード自体には生体認証や念による識別が組み込まれているため、他人が不正に入手しても正規の公的特権をそのまま行使することはできません。それでも闇市場で天文学的な価格で取引されるのは、富豪たちのステータスシンボルとしてのコレクション需要や、地下金融における「無記名の最高級担保」として莫大な換金性を持っているためです。
そして協会が定める鉄の掟が、ハンターライセンス再発行不可の理由に直結しています。いかなる事故や盗難、売却であっても二度と再交付されないという冷徹なルールは、「ライセンスひとつ自己管理できない人間に、世界規模の権力を行使する資格はない」という選別思想の表れです。