陸上界において、800mという距離は特殊な位置を占めています。短距離走のスプリント能力と長距離走の有酸素持久力を同時に極限まで求められるため、エネルギー供給比率はおよそ無酸素系50%・有酸素系50%という極限のハイブリッド状態で行われます。
現在公認されている800m世界記録 男子は、ケニアの英雄デイヴィッド・ルディシャが2012年8月9日のロンドン五輪決勝で叩き出した1分40秒91です。ペースメーカーの存在しないオリンピック決勝の大舞台で、スタートから一度も先頭を譲らずに独走して叩き出したこの記録は、スポーツ史上最も美しいレース展開の一つとして称賛されています。
一方、800m世界記録 女子は、旧チェコスロバキアのヤルミラ・クラトフビロバが1983年7月26日にミュンヘンで記録した1分53秒28です。この記録は40年以上の長きにわたり誰一人として更新できておらず、現在トラック種目において陸上競技 最古の世界記録として君臨しています。