90年代に入ると、彼女の関心は静かに、しかし確実に「動くこと」「言葉を発すること」へとシフトしていく。モデルとしてのキャリアが絶頂期を迎える中で、インディーズ映画の世界へと足を踏み入れたのは、ごく自然な流れだった。
特に諏訪敦彦監督との出会いは決定的だった。台本がなく、俳優たちの即興劇によって紡がれる映画『2/DUO』(1997年)や『M/OTHER』(1999年)での彼女の演技は、映画界に衝撃を与えた。そこにいたのは、セリフをなぞる役者ではない。カメラの前で生々しく呼吸し、傷つき、立ち尽くす一人の人間だった。モデル時代に極限まで研ぎ澄まされた「佇まいだけで空気を支配する力」が、スクリーンの中で見事に開花した瞬間である。