入れ替わりという難度の高いプロットに真実味を与えたのは、主演二人の卓越した演技力に他ならない。立花瀧を演じた神木隆之介は、少年特有の不器用さと、三葉が入っているときの愛らしい仕草を繊細な声色の変化で見事に演じ分けた。
一方、宮水三葉役の上白石萌音は、田舎町に息苦しさを感じる少女の透明感と、切実な叫びを情感豊かに表現している。互いの姿を見ることなく、ただ声と文字だけで惹かれ合っていく二人の関係性。ブースで重ねられた声の芝居があったからこそ、私たちは二人の実在を疑うことなく、その運命に激しく感情移入できたのだ。