『プロポーズ大作戦』を語る上で欠かせないのが、ヒロイン・吉田礼を演じた長澤まさみの圧倒的な輝きです。1987年6月生まれの彼女は、本作の撮影が始まった2007年春の時点でわずか19歳でした。物語の終盤、第8話の放送直前に20歳の誕生日を迎えており、まさに少女から大人の女性へと脱皮する奇跡的な一瞬がフィルムに焼き付けられています。
特に当時の女性視聴者を熱狂させ、美容室でオーダーが殺到したのが、彼女の軽やかなショートボブスタイルでした。前髪を自然に斜めに流し、毛先に柔らかなニュアンスを残したヘアスタイルは、快活な幼馴染でありながらどこか憂いを帯びた吉田礼のキャラクター像と完全に合致していました。飾り気のない高校時代の制服姿、大学生時代の等身大のカジュアルファッション、そして第1話冒頭から視聴者に強烈な切なさを突きつけた純白のウエディングドレス姿へのギャップは、視覚的にもドラマの求心力を決定づける要素となりました。
制作関係者の証言によると、現場での長澤まさみはカメラが回っていない時間帯でも、多田先生(藤木直人)と健(山下智久)の間で揺れ動く感情を維持するため、繊細な集中力を保ち続けていたと伝えられています。強がりで素直になれず、健に対して「ケンゾー!」と怒ってみせる快活さの裏側に、誰にも言えない孤独を滲ませる演技力。10代最後の長澤まさみが注ぎ込んだ生々しい感情の揺らぎこそが、吉田礼というキャラクターを平成ドラマ史に残るアイコンへと昇華させたのです。