現代のインターネット上でも時折、「丙午生まれの性格や特徴を持つ女性は気が強くて離婚しやすいのか?」という疑問が検索されている。結論から述べれば、これらは統計学および心理学の観点から完全に否定されている根拠なき都市伝説である。
厚生労働省の離婚統計や社会学の研究機関が過去数十年分にわたり追跡したパネル調査において、1966年生まれの女性の離婚率が他の生年と比べて有意に高いというデータは一切存在しない。他の世代と同様に、景気動向や就業形態、夫婦間の個別要因によって離婚率は推移しており、生まれ年の干支が夫婦関係に破綻をもたらすという仮説は完全に破綻している。
性格特性についても同様である。心理学におけるビッグファイブ(特性5因子モデル)をはじめとするパーソナリティ検査でも、丙午生まれのグループに特定のアグレッシブさや外向性の偏りは観測されていない。ではなぜ、このような言説が昭和後期まで信じられてしまったのか。そこには心理学でいう「確証バイアス」が強く働いている。
「あの人は丙午生まれだから気が強いのだ」という先入観を抱いていると、その人が少しでも自己主張した際に「やはり迷信通りだ」と強く記憶に刻まれ、逆に物静かで従順な一面を見せても例外として無視されてしまう。さらに、家父長制社会においては女性の自立や明確な意志表示が「生意気」「気性が激しい」とネガティブにラベル貼りされた歴史的背景がある。迷信の正体とは、強い女性を抑圧しようとした旧社会の歪んだジェンダー観の産物に過ぎない。