視聴者の間で長年議論を呼ぶのが、「侘助の本当の母親は誰なのか」という出生の謎と、彼が突然陣内家へ戻ってきた理由です。
作中の設定資料や劇中の会話から明かされている通り、侘助は先代当主・徳衛が外に作った愛人の子どもです。侘助の実母は芸者(あるいは夜の街の女性)であり、徳衛が彼女のもとに足繁く通って産ませた子でした。実母が亡くなった後、本妻である栄おばあちゃんが侘助を引き取り、実の我が子同然の愛情を注いで育て上げたという経緯があります。
しかし、侘助にとって自らの出生は「一族の恥」「よそ者」という根深いコンプレックスの源泉でした。10年前に陣内家の山林を無断で売却し、数千万円単位の遺産を持ち逃げしてアメリカ・カーネギーメロン大学へ渡ったのも、決して私利私欲のためではありません。
侘助の根底にあった動機はただ一つ、「莫大な富と成功を手にし、自分を育ててくれた栄おばあちゃんに恩返しをして認めさせたい」という不器用な親愛の情でした。アメリカで開発した人工知能を米軍に巨額で買い取らせる契約を取り付け、「ばあちゃん、これでお前の育てた男が世界を揺るがしたんだ」と誇らしげに報告するために、彼は10年ぶりに上田へ帰還したのです。
しかし、その人工知能こそがOZを暴走させた凶悪プログラム「ラブマシーン」であり、純粋な承認欲求が皮肉にも世界中を巻き込むサイバーテロの引き金となってしまいました。