ジブリ版の帝が放つセリフは、彼の特異なキャラクター設定を鮮明に浮き彫りにしています。
「そなたの望みはすべて叶えてやる」「余が召し出すのを拒む者がいるはずがない」といった数々の名言は、全知全能の権力者として生きてきた男の絶対的な支配欲を端的に表しています。相手の都合や感情を想像することすらなく、自らの愛を与えることこそが最大の恩恵であると信じ込んで疑いません。
劇中では、かぐや姫との間で手紙や和歌のやり取りも交わされますが、帝が詠む歌は技巧に走り、自分の想いを押し付ける自己中心的な内容です。それに対するかぐや姫の返歌は、形式的な敬意を払いながらも冷ややかな拒絶を漂わせるものでした。和歌を通じたコミュニケーションのすれ違いからも、2人の埋められない心の断絶が緻密に描き出されています。