かつて地域の会計といえば、手書きの現金出納帳に領収書を一枚ずつ糊付けし、計算機の打ち間違いと戦う不毛な作業の連続だった。年度末になれば数円のズレを探して徹夜作業を強いられることも珍しくない。しかも、前任者が独自に編み出した「俺ルール」の集計フォーマットは、新役員にとって暗号解読にも等しい苦痛を与えていた。
そこへ拍車をかけたのが、近年のデジタル化の波と急激な世代交代だ。スマホネイティブの若い保護者や現役世代にとって、紙と印鑑に依存したレガシーな運用は耐えがたいストレスとなる。結果として「会計係になるくらいなら役員を辞退したい」という声が噴出し、地域コミュニティそのものの崩壊リスクすら囁かれる事態へと陥っていた。