岩手の自然を愛し、宗教的な情熱と科学的な眼差しを融合させた宮沢賢治もまた、没後に評価が高まった不世出の表現者だ。『春と修羅』に代表される彼の心象スケッチは、生前ほとんど注目されなかったものの、今や日本文学史の金字塔として輝いている。
こうした詩人たちの営みを支え、表現の場を提供してきたのが出版業界の歴史である。特に思潮社をはじめとする専門出版社は、新進気鋭の詩人を世に送り出し、多様な詩集を発行することで日本の詩文化を根底から守り育ててきた。
また、日本現代詩人会のような組織が果たしてきた役割も大きい。言葉の可能性を模索する詩人たちが集い、議論を重ね、賞を設けて新しい才能を見出してきた試みが、日本の詩の多様性と質を維持する源泉となってきたのである。