彼の原点はどこにあるのか。それを語る上で欠かせないのが、日本放送協会でのキャリアである。テレビという巨大な組織の中で、彼は愚直なまでに事実を追い求めてきた。飾られた言葉ではなく、現場に転がる泥臭い真実。それこそが彼の武器だった。
組織の枠組みにとらわれない鋭利な調査報道スタイルは、当時から異彩を放っていた。上層部との衝突も一度や二度ではない。だが、裏付けのない情報は一行たりとも使わないという徹底したジャーナリズム精神が、結果として彼の作品に圧倒的な説得力を与えていたのだ。
テレビ離れが叫ばれて久しい。だが、彼が信じるのはメディアの形態ではなく「伝えるべき真実の重み」そのものだ。制約の多い地上波の現場で培われた徹底的なファクトチェックと取材力。それがいま、新たな舞台で爆発的な推進力となっている。