インターネット上の動画共有サイトやSNSでは、ピンセットで巨大な臭腺の塊をスポッと引き抜く映像が「爽快感がある」として数十万回再生される事態が頻発しています。しかし、動物医療の観点から言えば、これは極めて危険なパフォーマンスに他なりません。
現場の獣医師が最も警戒している盲点は、「過剰なお手入れが引き起こす医原性の臭腺トラブル」です。良かれと思って飼い主が毎日のように綿棒で臭腺を擦ったり、分泌物を根こそぎ拭き取ったりすると、生体防御反応として失われた脂質を補うためにかえって皮脂腺の分泌が過剰になります。結果として分泌液の粘度が上がり、より詰まりやすい悪循環に陥るのです。
さらに深刻なのは、頻繁な摩擦刺激によって皮膚の角化が亢進し、慢性のハムスター臭腺炎症治療が必要な組織変性を引き起こす点です。機械的な慢性刺激は、上皮系腫瘍(パピローマや腺癌)の発生トリガーになり得るという指摘もエキゾチック臨床医学会でなされています。「臭い=汚い=取り除かなければならない」という人間側の衛生観念を小動物に押し付ける行為こそが、健康な臭腺を病的な状態へと追い込む最大の盲点となっています。