カシマスタジアムを語る上で絶対に外せないのが、全国のJリーグサポーターから「日本屈指のスタジアムグルメ(スタグル)の聖地」と讃えられる飲食売店の充実ぶりです。多くの近代スタジアムが防災・消防法の制約から電気調理や再加熱を中心としているのに対し、カシマスタジアムは設計段階からバックヤードの排煙・換気設備が整えられており、コンコース内で堂々とプロパンガスの直火調理が行える極めて稀有な構造を持っています。
その象徴と言える存在が、巨大な寸胴鍋でグラグラと煮込まれる「名物もつ煮」です。複数の店舗がそれぞれ独自の秘伝ダレで仕込んでおり、豚もつの脂の甘みと根菜の旨味が溶け出した濃厚な味噌スープは、一度口にすると忘れられない深いコクを誇ります。寒風吹きすさぶナイトゲームや春先・晩秋の観戦において、湯気を上げるもつ煮を手にスタンドへ向かう行為は、カシマを訪れるサポーターにとって欠かせない儀式となっています。
もつ煮以外にも、炭火で豪快に焼き上げる牛ハラミ焼きや分厚いハム焼き、地元鹿島灘で獲れたしらすを用いた丼もの、茨城県産メロンを使ったスイーツなど、ご当地食材のオンパレードです。キックオフ直前には各店舗に長蛇の列ができ、人気メニューは試合開始1時間前には完売することも珍しくありません。スタジアムグルメを心ゆくまで堪能したい場合は、一般開門時間の直後、キックオフの2時間半から3時間前にスタジアムへ入場するのが確実な立ち回りです。