ネット上のコミュニティやビジネスパーソンへのヒアリング取材を行うと、この慣用句が引き起こすリアルな摩擦の現場が浮かび上がってきます。
ある大手IT企業の人事担当者は、社内アンケートの自由記述欄で次のような事態を目撃したと証言します。
「新入社員のメンター制度に関する報告書で、若手社員が『先輩は気の置けない方なので、毎日非常に緊張して業務にあたっています』と書いていたのです。本人は『気を抜くことができない厳しい先輩』という意味で使っていたのですが、読んだ先輩側は『親しく打ち解けてくれている』と勘違いし、面談でのコミュニケーションが完全にすれ違っていました」
また、知恵袋などのQ&Aサイトでも、「結婚式の友人代表スピーチで『新郎は私にとって気の置けない仲間です』と言ったら、親族席がざわついたように見えた」という投稿が見受けられます。これは聞き手の中に「油断できない相手」と誤解している層が一定数存在するため、祝福の席で悪口を言ったかのような奇妙な空気感が生じてしまう現象です。