日本の男子シングルス界を長年牽引してきた桃田賢斗が築き上げた、精密機械のような配球と鉄壁のフットワーク。その DNA は確実に後進へと受け継がれているが、現代の高速化するラケットスポーツの潮流は、さらなる進化を要求している。守り勝つだけでは、欧州勢の圧倒的な体躯から繰り出される角度のあるスマッシュを凌ぎ切ることはできない。
今大会で機能したのは、緩急を極限まで強調した「チェンジペース戦術」だ。深いクリアとショートクロスを織り交ぜて相手の重心を前後に揺さぶり、甘く浮いた球を容赦なく仕留める。桃田が極めたディフェンシブなラリー構築を土台にしながら、機を見て一撃で仕留める破壊力を融合させたハイブリッドスタイルが、世界のトップランカーたちを戦慄させている。