この現象を可能にしている中核技術が、光学分野で長く利用されてきたダイクロイックフィルターの超小型化だ。通常の染料や顔料による着色とは異なり、屈折率の異なる複数の誘電体薄膜をナノメートル単位で積層。特定波長の光のみを透過させ、残りの波長を鏡のように反射させる薄膜干渉を起こしている。
目線が動く。光の入射角が変わる。すると反射される波長がミリ秒単位でシフトし、見る者の角度によって色彩がダイナミックに変容する。退色することのない無機質な輝きと、有機的な瞳の湿り気が交差する瞬間、人工物とも生体ともつかない異質なリアリティがそこに立ち現れる。