いざ手信号を出そうとした際、多くの人が直面するのが「どの腕をどのように動かせば法的に正当なのか」という疑問だ。道路交通法施行令第21条では、自転車ハンドサインの種類と出し方が明確に規定されている。
基本となるのは自転車の右折・左折・停止の合図だ。自動車教習所で習った記憶を持つドライバーも多いはずだが、自転車の挙動に合わせて整理すると以下のようになる。
まず右折の合図は、「右腕を車道の外側(右側)に水平に伸ばす」か、もしくは「左腕の肘を直角に曲げて前腕を垂直に立てる」かのいずれかである。進行方向の右側へ腕を伸ばす動作が視認性において圧倒的に勝るため、実務上は右腕を水平に出すスタイルが標準となっている。
続いて左折の合図は、「左腕を路肩側(左側)に水平に伸ばす」か、または「右腕の肘を直角に曲げて垂直に立てる」形をとる。左腕を伸ばすのが直感的だが、左ブレーキレバー(日本の一般的な自転車では前輪ブレーキ)から手を離すことに不安を覚える場合は、後述する安全面への配慮が不可欠となる。
見落とされがちなのが自転車の徐行合図のやり方および停止の合図だ。後続の自転車や自動車に対して減速・停止を知らせる際は、「腕を斜め下45度に伸ばし、手のひらを後方に向ける」のが法令上の正式な所作である。急な減速で後続車に追突されるリスクを劇的に低減させる合図であり、特に路肩の狭い市街地走行では極めて有用な安全防護策となる。
合図を出すタイミングについても厳密な規定が存在する。交差点で右左折する場合は「曲がろうとする地点の30メートル手前」から、進路変更の場合は「車線変更を行おうとする3秒前」から合図を開始しなければならない。曲がり角の直前で慌てて手を挙げても、後続車への予告情報としては機能しない点を肝に銘じる必要がある。