番組が放送30年の中で直面した最大の波乱といえば、2016年12月20日放送の特番で登場した「曜変天目茶碗」を巡る論争です。世界に現存する完全な曜変天目茶碗は日本にある3点(すべて国宝)のみとされていた中、中島誠之助氏が「世界で4点目の国宝級の曜変天目茶碗に間違いない」と断定し、2,500万円という鑑定額を付けたことで列島に激震が走りました。
しかし、放送直後から古陶磁研究者や陶芸家から強い疑義が噴出します。徳島大学の教授をはじめとする専門家有志が詳細な科学的分析を求め、中国・福建省の工房で作られた現代の土産物(福建省の陶芸作家・李欣紅氏が自作であることを認める証言)に酷似しているとの指摘が相次ぎました。テレビ東京側は「鑑定結果は番組独自の見解に基づくもの」とのスタンスを維持しましたが、文化庁や奈良国立博物館を巻き込んだ大論争へと発展し、番組の鑑定基準の客観性を問われる象徴的な出来事となりました。
これに伴い、ネット上では定期的に「番組のやらせ疑惑」が囁かれます。「一般の依頼人がどうしてこんな名品を都合よく持っているのか」「事前審査で価格が決まっているのではないか」という指摘です。しかし番組関係者の証言や業界の実態を照らし合わせると、完全なやらせというよりは「綿密な事前調査(スクリーニング)と演出の相乗効果」というのが実態です。
実際には、応募総数数千件の中から、予備調査によって「明らかに物語性のある品」や「鑑定士が真剣に精査する価値のある品」がふるい落とされています。鑑定士側も事前に写真や資料で概要を把握した上で、最終的な本鑑定(箱の木目、重さ、質感、匂いなど実物の確認)を収録直前に行っているため、演出としての劇的構造と専門的な真贋判定がギリギリの均衡を保っているのが実状です。