上村姓の読み方を地理的に検証すると、日本列島の中央部と東西で明確なグラデーションが存在します。その最たる例が「関西」と「九州」の対比です。
近畿地方(大阪府、兵庫県、京都府、奈良県)をはじめとする西日本では、上村姓の8割から9割近くが「うえむら」と名乗ります。関西弁において「上(うえ)」という母音が発音しやすく親しまれてきた文化的背景に加え、後述する近畿発祥の武家勢力が「うえむら」と名乗りをあげていたことが大きく影響しています。
対照的に、九州地方へ入ると様相は一変します。特に熊本県や鹿児島県、宮崎県などの南九州エリアでは、「かみむら」と読む割合が圧倒的です。南九州の方言では古くから位置関係の「上」を「かみ(カミ)」と呼ぶ風習が根強く、地名としても「上村(かみむら)」が多く存在したため、住民の苗字も自然と「かみむら」に統一されていきました。
また、新潟県を中心とする北陸・甲信越地方や東北の一部地域でも「かみむら」の比率が高くなる傾向があり、中央政権の言葉遣いと地方の古語の残り方が、現在の読み分けの境界線を形作っています。