お正月の音楽が持つ力は、単なる季節の装飾にとどまりません。高齢者福祉施設や児童教育の現場では、音楽療法や知育の一環として極めて重要な役割を果たしています。
介護現場のレクリエーションにおいて、『一月一日』や『お正月』などの唱歌は「回想法(Reminiscence Therapy)」の強力なトリガーとなります。都内の特別養護老人ホームで活動する音楽療法士は次のように証言します。
「普段は自発的な発話が難しい重度認知症の利用者様であっても、『年の初めの〜』とピアノで前奏を弾き始めた瞬間に背筋を伸ばし、歌詞カードを見ずに三番まで淀みなく歌われるケースは日常茶飯事です。幼少期から身体に染み付いた正月のメロディは、大脳皮質の深層にある長期記憶と強く結びついており、見当識の維持や情緒の安定に驚くべき効果を発揮します」
また、保育現場においても、現代のデジタルネイティブな子どもたちに向けた伝承文化教育として見直されています。核家族化が進み、羽子板や独楽に触れる機会が減少する中、歌を通じて年中行事のストーリーを学ぶ教育手法は、情操教育の基盤として再評価されています。