「なぜあれほどの人気役者と交際しながら、誰も結婚まで辿り着かないのか」という疑問に対し、見落とされがちなのが「梨園の妻」に求められる常人離れした過酷なハードルです。
歌舞伎役者の妻は、単なる家庭内パートナーにとどまりません。毎月の初日・千穐楽でのロビー挨拶、贔屓筋や後援会幹部への手紙・贈答品の管理、贔屓客の顔と名前の把握、着物の着こなしや伝統的しきたりへの精通など、実質的に「一門の番頭・マネージャー」としての激務を無報酬で担うことになります。
義姉である前田愛は、自身の女優業を完全に休止し、裏方として中村屋を完璧に支え続けています。その献身的な姿を間近で見届けているからこそ、七之助自身が「生半可な覚悟でお相手をこの世界に巻き込むことはできない」という強い自制心を抱いていると推察されます。自著や特番の密着取材でも、相手にかかる精神的負担の大きさを慮る発言を度々残しています。