この楽曲を深く理解する上で外せないのが、当時のOrangestarを取り巻いていた環境です。彼は敬虔なモルモン教(末日聖徒イエス・キリスト教会)の信徒であり、2017年から約2年間にわたり南米での布教活動に専念するため、音楽活動を一時休止することが決まっていました。
活動休止を目前に控えた2016年後半、多感な時期に異国の地へ旅立つ直前の心境――それは期待だけでなく、未知の世界への不安や、慣れ親しんだ日常との別れに対する哀愁に満ちていたはずです。
『回る空うさぎ』の歌詞に流れる「ここではないどこかへ旅立つ気配」や「残される者・去りゆく者の対話」のようなトーンは、作者自身の人生の大きな転換期におけるリアルな心象風景と深くリンクしています。元ネタとなる特定の神話だけでなく、作家自身の純粋な祈りが吹き込まれているからこそ、時代を超えて響く普遍性を獲得しているのです。