「自分で決めること」の価値は、単なる精神論にとどまらず、客観的な実証科学の分野でも圧倒的な裏付けが存在します。幸福感に最も強い影響を与える要素とは何なのか、大規模な社会調査データからその構造が浮き彫りになっています。
神戸大学経済経営研究所の西村和雄特命教授と同志社大学の八木匡教授が実施した、国内約2万人を対象とする大規模実証調査(「幸福感と自己決定」に関する研究)では、極めて示唆に富む分析結果が報告されました。健康や人間関係に次いで個人の幸福感を大きく左右していたのは、世帯年収や学歴の高さではなく、「進路や就職などを自らの意思で決定したか」という自己決定度でした。
内閣府が継続的に公表している「満足度・生活の質に関する調査」などの諸指標を見ても、暮らしに対する自己統制感の欠如は、不安感や孤立感に直結しています。いくら高年収を得ていても、それが「親の敷いたレール」や「世間体に縛られた我慢」の上にある限り、心からの充足感を得ることは原理的に困難です。後悔しない生き方の理由は、統計学的にも完全に証明されています。