奥津軽いまべつ駅はなぜ存在?日本一乗降客が少ない新幹線駅の真実

奥津軽いまべつ駅はなぜ存在?日本一乗降客が少ない新幹線駅の真実

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東北新幹線の終点・新青森駅から青函トンネルへと向かう山間部に位置する奥津軽いまべつ駅。新幹線駅としては異例の閑静な地に駅が誕生した背景には、青函トンネル本州側基地としての構造的・技術的な必然性がありました。

歴史を遡ると、この地には1988年の青函トンネル開業とともに海峡線の「津軽今別駅」が設置されていました。当時から旅客駅としての機能だけでなく、トンネル内で事故やトラブルが発生した際の一大救援拠点、さらには夜間の保守作業車両を収容する保守基地としての重責を担っていた経緯があります。

北海道新幹線の建設計画が進むにあたり、在来線(狭軌1,067mm)と新幹線(標準軌1,435mm)が同じ線路を共用する「三線軌条」の合流・待避設備を設ける場所として、この今別町の拠点が技術的に不可欠でした。つまり、旅客用のホームを造るかどうかにかかわらず、大規模な信号場・待避線・保線基地は絶対に建設しなければならなかったのです。

JR北海道関係者の証言や当時の自治体交渉記録によると、基礎インフラの整備が決まっていた場所に、地元・青森県や今別町による長年の誘致運動が結実し、旅客用プラットホームや駅舎が付加される形で現在の姿が完成しました。「人がいないのになぜ駅を作ったのか」というネット上の素朴な疑問に対する明確な答えは、「トンネルを守る戦略拠点が先にあって、そこに旅客機能を後乗せしたから」というインフラ工学上の合理性にあります。

中島 亮太
著者

中島 亮太

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。