処女作の読み方は「しょじょさく」です。辞書的な定義を確認すると、大辞泉や広辞苑などの主要国語辞典では「その作者が世に出て最初に発表した作品、または生涯で初めて作った作品」と説明されています。文学のみならず、絵画、映画、音楽、漫画、学術論文など、あらゆる創作活動の原点に対して用いられる概念です。
言葉の語源を遡ると、明治期の西欧近代概念の受容に突き当たります。英語圏では、初めて世に出る事物や最初の航海を「maiden voyage」、新人議員の初演説を「maiden speech」、そして最初の創作物を「maiden work」と表現してきました。「未踏の地」「まだ何者にも染まっていない無垢な状態」を意味する語彙の直訳として「処女」の漢字が充てられ、文学界を中心に定着していった経緯があります。
しかし、本来の生物学的な意味合いから離れた比喩表現であるとはいえ、現代社会における言葉の受け取られ方は大きく変化しています。出版業界や報道機関の内部でも、表現のニュアンスには細心の注意が払われるようになりました。