化粧まわしの頂点に君臨するのが、横綱土俵入りで使用される「三つ揃え(みつぞろえ)」です。これは横綱本人、そして土俵入りに従う「太刀持ち(たちもち)」「露払い(つゆはらい)」の計3名が身につける、統一された連作デザインの化粧まわしを指します。
3本が並んだときに1枚の雄大な絵巻物が完成するパノラマ構成や、同じモチーフを3段の格調で描き分ける手法が用いられます。職人が手作業で3本同時に織り上げるため、制作期間は通常でも半年から1年近くを要し、費用も軽く数千万円規模に膨らみます。
横綱昇進が決まると、即座に後援会が京都や東京の老舗織元へ発注をかけ、昇進披露宴や本場所初日に間に合わせるために職人たちが不眠不休で針を運ぶ――。三つ揃えの化粧まわしは、相撲界の頂点に立った者とそれを支える職人集団の執念が結実した究極の芸術品といえます。