同施設の歴史と経緯を振り返ると、瀬戸大橋開通に伴う観光ブームと、日本全国に巻き起こった健康ランドブームが色濃く反映されています。1980年代後半から1990年代にかけてオープンした大型スパリゾートは、単なる入浴施設にとどまらず、家族三世代が1日中過ごせる総合エンターテインメント空間でした。
館内には高温サウナ、冷えの効いた水風呂、露天風呂をはじめとする多彩なサウナ・温泉設備が揃い、サウナ愛好家からも高い支持を集めていました。さらに、本格的な舞台装置を備えた大広間では大衆演劇の定期公演が開催され、熱烈なファンが連日詰めかける光景は児島の日常風景となっていました。
また、リーズナブルな宿泊料金で仮眠室やカプセルベッドを利用できたため、本州と四国を行き交うトラックドライバーやビジネス客、一人旅のバックパッカーにとっても貴重なセーフティネットとして重宝されていました。こうした多面的な役割を果たしていたからこそ、その幕引きは地域社会に大きな喪失感をもたらしました。