枠順確定の一報は、毎年のように市場のパワーバランスを不可逆的に塗り替えます。とりわけ天皇賞枠順発表後の現在オッズを観察すると、春と秋とで大衆の心理バイアスが正反対のベクトルを描く点が極めて特徴的です。
例えば、長丁場のスタミナ戦が繰り広げられる春の長距離戦では、外枠(7〜8枠)に入った馬はコーナーワークでの距離ロスを嫌われ、単勝支持率が発表前より15%〜25%程度急落する傾向があります。この初動を捉えた天皇賞春オッズ速報では、内枠を引き当てた先行タイプの伏兵馬に急激な買いが入り、単勝20倍台から一気に単勝10倍前後のゾーンへ急騰するケースが珍しくありません。
対照的に、中距離スピード戦となる天皇賞秋オッズ推移においては、東京2000m特有の「魔の1コーナー」が存在するため、大外枠の先行馬が序盤で脚を使わされるリスクが極度に警戒されます。その結果、差し・追込馬の実力馬であっても8枠を引いた瞬間にオッズが甘くなるという「過剰反応」が誘発されます。2026年の戦局でも、枠順の有利不利に対するファンの先入観が実力以上のオッズ格差を生み出しており、ここにこそ妙味が潜んでいます。