なぜ、これほどまでに残酷な嘘を突き通さなければならなかったのでしょうか。それは、一度踏み出した闇の道から引き返すことはできなかったからです。
父親はその後も「越川睦夫」など、名前を変えながら原発労働などで食いつなぎ、娘に資金を送り続けました。しかし、嘘を維持するためには、新たな犠牲が必要になります。
滋賀から上京した押谷道子は、偶然にも「生きて動いている浅居忠雄」を目撃してしまいました。博美の成功を守るため、そして娘が殺人犯の娘として社会から抹殺されるのを防ぐため、忠雄は道子を絞殺せざるを得なくなります。さらに、忠雄の正体に気づきそうになった別の人物も、彼の手にかけられていきました。
愛する娘の未来を守るための「祈り」は、いつしか血に染まった「呪縛」へと変貌を遂げていたのです。