2019年NBAドラフトといえば、空前絶後の注目度を誇ったザイオン・ウィリアムソンが全体1位で指名された歴史的豊作年だ。メディアのカメラがザイオンの一挙手一投足を追う一方で、会場となったバークレイズ・センターの控室周辺では、9位指名権を持つワシントン・ウィザーズの動向に注目が集まっていた。
指名直前の数時間、現地では様々な情報が飛び交っていた。他の球団がトレードアップを仕掛けて八村を横取りしようとしているという噂や、ガード陣の補強を最優先するのではないかという懐疑的な見方まで様々だった。しかしウィザーズの選択にブレはなかった。グリーンルームで家族や恩師とともに待機していた彼が名前を呼ばれ、コミッショナーのアダム・シルバーと握手を交わした瞬間、現地記者の間にもどよめきと納得の表情が広がった。スポーツジャーナリズムの現場において、日本のバスケットボール史が塗り替わったことを誰もが確信した瞬間であった。