楽曲の独創的な世界観は、どのようにして生まれたのでしょうか。フロントマンの清水依与吏が当時の音楽雑誌やテレビ特番のインタビューで明かした制作秘話には、バンドの揺るぎないアイデンティティが刻まれています。
まずタイトルの由来について、清水はことわざの「高嶺の花」(遥か遠くから眺めるだけで手に入らない憧れの存在)に、あえて日本のステレオタイプな女性名である「花子さん」を合体させたと語っています。あえて特定の名前ではなく記号的な名前にすることで、「誰にとっても手の届かない憧れのあの人」を代入できる余白を生み出したのです。
また、清水自身の原体験として「学生時代、本当に好きだった人にまったく相手にされず、遠くから見つめることしかできなかった」という劣等感と失恋の記憶が色濃く反映されています。back numberの楽曲は、カッコいいロックスターの武勇伝ではなく、「みっともなくて情けない男の本音」を徹底的にさらけ出すことで支持を集めてきました。
蔦谷好位置をプロデューサーに迎えて制作された本楽曲は、疾走感に満ちたホーンセクションと爽快なアッパービートが特徴です。清水は「歌詞があまりに女々しく後ろ向きだからこそ、サウンドは思い切り突き抜けたキラキラしたポップロックにした」と語っており、この「極上のポップ感と最悪のネガティブ思考」のコントラストが、唯一無二の中毒性を生み出す結果となりました。4thアルバム『ラブストーリー』やベスト盤『アンコール』の中核を担う名曲の誕生です。