購入したチキンを手軽に温めようと、多くの人が最初に頼るのが電子レンジです。しかし、ロティサリーチキンを電子レンジだけで温め直すとパサパサになりやすいのには、明確な調理科学の理由が存在します。
電子レンジのマイクロ波は、食品内部の水分分子を激しく振動させて摩擦熱を生み出します。チキンの肉繊維、特に脂肪分の少ないむね肉やささみ部分にマイクロ波が集中すると、タンパク質が急激に収縮して細胞内の水分(肉汁)を一気に絞り出してしまうのです。さらに、ロティサリーチキンの香ばしい皮に含まれるゼラチン質や脂分が蒸気でふやけ、パリッとした食感が完全に失われてベタついた仕上がりになってしまいます。
ネット上の口コミや知恵袋でも「温めすぎて消しゴムのような食感になった」「パサついて飲み込みにくい」といった失敗談が多く散見されます。電子レンジは「内部を素早く芯まで温める」ことには長けていますが、「表面を香ばしくクリスピーに仕上げる」機能はありません。チキンの美味しさを100%再現するためには、電子レンジの役割をあくまで下地作りに留め、外側を焼き上げる熱源と組み合わせる工夫が不可欠です。