「食べたマンゴーの種を育てたら、数年後に自宅で高級マンゴーが収穫できるのではないか」という期待を抱く方は少なくありません。しかし、園芸学および熱帯果樹栽培の実態から言えば、「日本の一般的な家庭環境で、実生(種から育てた木)に実を付けさせ完熟まで導くのは極めて難易度が高い」というのが客観的な事実です。
その理由として、まず結実までの年数が挙げられます。接ぎ木された市販の苗木であれば2〜3年で開花・結実しますが、種から育てた実生苗は成木として成熟するまでに最低でも6年〜8年以上の歳月を要します。さらに、マンゴーは放っておくと樹高数メートル以上の大木に成長する性質があり、日本の狭小住宅の室内では十分な樹冠サイズを維持できません。
また、スーパーで売られているアップルマンゴーの多くは「単胚性」であり、親の木とは遺伝的性質が異なるため、仮に実がなったとしても親果実と同じ甘さや食感になるとは限りません。冬場に加温可能な大型ガラス温室設備がない限り、実の収穫をメイン目的にするのは現実的ではありません。
しかし、観葉植物としての価値は極めて優秀です。発芽直後の新芽はワインレッドからチョコレート色のような深い赤褐色をしており、日光を浴びるにつれて鮮やかなライムグリーン、そして深い緑色へと劇的に色彩を変えていきます。エキゾチックな光沢葉を室内に飾るインドアグリーンとしての満足度は、市販の観葉植物に勝るとも劣りません。