作中に登場する人物の中でも、ネット上で「どうしても受け入れられない」という声が際立って多いのが川井みきです。ファンの間で語られる聲の形のキャラクター嫌われ順においても、苛烈にいじめを主導した植野直花や傍観者だったクラスメイトを抑え、川井がワースト上位に挙げられるケースは珍しくありません。
彼女がここまで激しく拒絶される最大の理由は、「悪意を自覚していないこと」にあります。小学校時代、西宮硝子へのからかいがエスカレートした際、川井は一緒になって笑いながらも、担任教師の追及が始まると真っ先に涙を流して被害者を演じました。自分の立場が危うくなると即座に石田将也一人に罪を被せ、自分は「止めていた側」「善意の第三者」へとポジションをすり替えます。
植野直花のように自分の悪意や身勝手さを自認した上でぶつかってくるキャラクターとは対照的に、川井は自らを「心優しい優等生」と本気で信じ込んでいます。この無自覚な偽善と徹底した自己正当化の構造こそが、多くの読者に「最も身近にいて欲しくないタイプ」「胸糞が悪い」と感じさせる決定打となっているのです。