桑名正博の死因と最期の真相|脳幹出血と闘った104日間の全記録

桑名正博の死因と最期の真相|脳幹出血と闘った104日間の全記録

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医師からの絶望的な宣告を受けながらも、桑名正博さんの肉体は驚くべき粘りを見せました。当初「数日の命」とされた予測を覆し、集中治療室(ICU)のベッドの上で104日間にわたる壮絶な闘病を続けたのです。

病室では、元妻であるアン・ルイスさんとの間に生まれた長男の美勇士(みゅうじ)さん、妻の栄子さん、妹の桑名晴子さんらが交代で昼夜を問わず付き添いました。自発呼吸が停止し人工呼吸器につながれ、医学的な意識反応が消失した深い昏睡状態のなかにあっても、家族は希望を捨てませんでした。耳元で代表曲『セクシャルバイオレットNo.1』や最新の楽曲を大音量で流し続け、絶え間なく声をかけ、身体をさすり続けました。

美勇士さんが後の記者会見や手記で明かしたところによると、呼びかけや音楽に対して、時折心拍計のモニター数値が激しく上下したり、麻痺しているはずの指先がかすかに反応したりするなど、医学の常識を超えた反応を何度も見せたといいます。「親父の耳には絶対に僕たちの声とロックが届いている」と、家族は奇跡の覚醒を信じて疑いませんでした。

しかし、発症から3か月余りが過ぎた秋口、限界を超えて戦い続けていた心臓が徐々に弱まり始めます。2012年10月26日午後5時44分、家族全員に見守られる中、桑名さんは静かに息を引き取りました。享年59歳。還暦を目前にした早すぎる別れでした。

臨終の場に立ち会った美勇士さんは、会見でその最期の様子を次のように語っています。
「意識を失って倒れてから最後まで、言葉を交わすことはできませんでした。でも、親父は僕たちに『最期の言葉』を声で残す代わりに、104日間も心臓を動かし続けるという圧倒的な肉体の力で、男としての生き様とメッセージを伝えてくれたのだと思います。苦しむこともなく、眠るように穏やかな顔でした。親父は最後まで格好いいロックスターでした」

池田 達也
著者

池田 達也

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。