スクリーン上のフィクションと現実の犯罪組織の境界線を語る上で欠かせないのが、潜入捜査官と裏社会の二重スパイを描いた傑作『インファナル・アフェア』だ。警察内部へ送り込まれた内通者と、組織へ潜入した捜査官の壮絶な心理戦は、冒頭で触れた警察内部リークの危うさを予見していたかのようなリアリティを持つ。
一方で、異国で生き抜く密航者たちの過酷な生存戦略を描いた『新宿インシデント』は、歌舞伎町を舞台に外国人犯罪組織が急速に台頭する過程を克明に捉えていた。映画が捉えた密航者グループのネットワーク化と勢力図の塗り替えは、現代の中国マフィアが世界各地の都市部へ浸透していくプロセスと酷似している。