入山時の定番装備とされる「熊鈴」ですが、根曲がり竹採りの現場においてはその効果に限界があることを正しく認識しなければなりません。
笹やぶの中では、竹が擦れ合う大きな音や風、付近の沢音によって、鈴の金属音が想像以上に遠くまで届きません。さらに、近年のクマの中には人間の出す音に慣れてしまい、鈴の音を聞いても逃げない個体や、逆に「タケノコ採りの人間がいる=エサ場」と学習している可能性すら指摘されています。音出し対策としては、熊鈴だけでなく定期的な電子ホイッスルの吹鳴や人の声によるアピールを組み合わせることが鉄則です。
そして、万が一の近接遭遇時に生死を分ける最強の防衛装備が「熊よけスプレー(高濃度カプサイシン製剤)」です。選定と携行には以下の基準を厳守してください。
- 信頼性の高い製品を選ぶ:米国EPA(環境保護庁)登録品である「フロンティアーズマン」や「カウンターアソールト」など、噴射距離7〜9メートル以上、噴射時間5秒以上の規格品を選択する。
- 必ず専用ホルスターで瞬時に抜ける位置に装着:リュックの中に入れていては一切役に立ちません。胸のチェストベルトや腰のベルトに装着し、1秒で構えられる状態を維持する。
- 安全クリップの脱着を体で覚える:いざという時の誤射防止とスムーズな解除をシミュレーションしておく。