無免許、法外な報酬、神がかり的なメス捌き——これらを聞いて、不朽の名作を思い浮かべない者はいないだろう。漫画の神様・手塚治虫が生み出した金字塔『ブラック・ジャック』の影が、本作の端々に色濃く投影されているのは明白だ。しかし、アシュラは単なるオマージュの枠を軽々と飛び越える。
彼が体現するのは、21世紀の歪んだ資本主義と医療格差が生み落とした、より苛烈なダークヒーローの肖像だ。善悪の境界線は完全に曖昧であり、命を救う行為そのものが他者への復讐や社会的制裁の引き金となる。手塚作品が問いかけた「生命の尊厳」という普遍的なテーマを、現代の生々しい社会病理へとアップデートした作劇は、まさに圧巻の一言に尽きる。