経済指標として世界中で参照される「ビッグマック指数」は、各国の通貨の実質購買力や物価水準を測る象徴だ。看板商品であるビッグマックの段階的な単価引き上げは、日本の消費者が長年慣れ親しんできた「安価なデフレ食」からの脱却を決定づけた。世界的なインフレーションの波が押し寄せる中、外食産業全体が歴史的なコスト転嫁の過渡期を迎えている。
ここで焦点となるのが価格弾力性だ。価格を1%上げたときに需要がどれだけ変化するかを示す指標だが、ファストフードは従来、価格弾力性が極めて高い(=値上げすると即座に需要が激減する)分野と考えられてきた。しかし、強力なブランド力と圧倒的な立地優位性を背景に値上げを強行した結果、一定の客離れを引き起こしつつも、単価上昇がそれを補う構造を構築し得ることが証明されたのである。