昭和の日活女優を巡っては、インターネットや週刊誌などで一部の誤解や偏った言説が語られることがあります。当時の契約構造や業界資料をもとに、代表的な2つの誤解を是正します。
誤解1:「ロマンポルノ転換ですべての昭和女優が日活から切り捨てられた」
ネット上の言説では「会社が一方的に清純派を切り捨てた」と描かれがちですが、実際には1960年代末から俳優専属制度(スタジオシステム)そのものが崩壊しつつありました。吉永小百合や浅丘ルリ子らは路線転換以前からテレビドラマへの出演や外部製作映画への参画を模索しており、スタジオに縛られない「個人の役者」としての自立を進めていたプロセスでした。
誤解2:「ロマンポルノ女優は一般作に進出できなかった」
成人映画出身というレッテルに苦しんだ側面は否定できませんが、白川和子や宮下順子、美保純らはその卓越した演技力により、一般映画やテレビドラマで欠かせない名脇役として定着しました。美保純は日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞し、白川和子は今村昌平監督や黒沢清監督らの名作で重用されるなど、実力で偏見を覆したのが歴史的事実です。